ウパダシチニブ(リンヴォック)重症円形脱毛症で欧州承認 日本は審査中

ウパダシチニブ(リンヴォック)重症円形脱毛症で欧州承認 日本は審査中|AGA基礎知識 AGA基礎知識

重症の円形脱毛症に対し、飲み薬ウパダシチニブ(リンヴォック)が2026年7月に欧州で承認された。米国は審査中で、日本では2025年12月に申請され審査が続いている。本記事では、企業発表と公的資料で確認できた事実だけを日付つきで整理する。

あわせて、AGA(男性型脱毛症)との違い、今の時点で取れる行動もまとめた。円形脱毛症は自己免疫の病気であり、AGA治療薬の対象ではない点を先に押さえておきたい。

ウパダシチニブはどんな薬か

ウパダシチニブは、1日1回飲む低分子のJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬である。アッヴィ合同会社によると、日本ではアトピー性皮膚炎を含む8つの適応ですでに承認されている。

円形脱毛症は、免疫が毛根を攻撃して髪や眉毛、睫毛が抜ける自己免疫性の病気とされる。JAK阻害薬は、この攻撃に関わる信号の伝達を抑える仕組みの薬だ。JAK阻害薬全体の流れはJAK阻害薬と薄毛治療の動向で解説している。

欧州で承認された適応は「重症円形脱毛症の成人と12歳以上の青少年」で、用量は15mgまたは30mgを1日1回である。国内の発表では、重症を「頭部の脱毛面積が50%以上」と説明している。

2026年に何があったか

日付出来事
2025年12月15日アッヴィ合同会社が国内で円形脱毛症への適応追加を申請と発表。
2026年4月28日AbbVieが米FDAへの申請を発表(同時点でEMAも審査中)。
2026年6月29日欧州医薬品庁の委員会(CHMP)が承認を推奨する見解を採択。
2026年7月29日AbbVieが欧州委員会の承認を発表。
2026年8月12日第3相試験の論文がJAMA Dermatologyに掲載。
2026年8月25日アッヴィ合同会社が欧州承認を国内向けに発表。

8月25日の日本語リリースを欧州の承認日とする情報も見られるが、承認そのものの発表はグローバルの7月29日付である。米国については、8月25日時点の発表でも審査中と書かれている。

試験の結果(UP-AA試験)

根拠となったのは、同じデザインの第3相試験2本からなるUP-AA試験(NCT06012240)である。1,399例を15mg・30mg・プラセボに2対2対1で割り付け、日本も参加した。参加者の平均SALTスコアは83.9だった。

SALTは頭部の脱毛面積を0〜100で表す指標で、SALT20以下は「脱毛面積20%以下」、SALT0は「脱毛なし」を意味する。以下はAbbVieが発表した24週時点の数値である。

24週プラセボ15mg30mg
試験1 SALT20以下1.5%45.2%55.0%
試験1 SALT00%14.1%20.3%
試験2 SALT20以下3.4%44.6%54.3%
試験2 SALT00.7%13.1%22.5%

52週の記述的な解析では、試験1のSALT20以下が15mgで59.3%、30mgで63.8%だった。SALT0は28.5%と35.8%である。試験2はSALT20以下が55.0%と63.3%、SALT0が26.6%と37.0%と報告された。

AbbVieは、SALT0を24週の順位付き副次評価項目として達成した初のJAK阻害薬だと主張している。ただし他剤とは試験条件が異なり、数値を単純に並べて優劣は決められない。

安全性について公表されていること

AbbVieは、52週までの安全性プロファイルは24週時点と一貫していたと発表している。欧州承認の発表には、帯状疱疹のリスクは日本人患者で高いとみられるとの記載がある。

PMDAの審査報告書は、リンヴォックについて他のJAK阻害薬や生物学的製剤と同様に重篤な感染症等の発現リスクがある薬剤だと述べている。そのうえで、重篤な感染症等に対応できる医療機関で使う旨の周知が重要だとしている。

日本での状況

国内では2025年12月15日に、適応「円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)」として申請された。2026年7月付のリンヴォックの別の審査報告書でも、効能の一覧に円形脱毛症は含まれていなかった。

本記事の執筆時点(2026年10月3日)で、国内承認の発表は確認できなかった。承認時期の見通しも公表されていない。日本人サブグループの詳しい数値も公表資料では確認できていない。

他の新しい円形脱毛症治療との比較

同じJAK阻害薬のデュルキソリチニブは、2026年3月に英国で重症円形脱毛症の成人を対象に承認された。日本での申請は一次情報では確認できない(デュルキソリチニブの記事)。

リトレシチニブは、中等症の成人と12歳以上を対象にした第3相試験がjRCT2031260419として2026年8月21日に登録された。国内ですでに円形脱毛症に使われているバリシチニブの小児用量追加はバリシチニブの記事で扱っている。

わかっていること・わかっていないこと

  • わかっていること:欧州で承認済み、米国と日本は審査中。24週・52週の数値は企業発表と査読論文で公表済み。
  • わかっていないこと:米国の審査期限、国内承認の時期、日本人サブグループの数値、長期の安全性。
  • 承認されても、使える人の範囲は国内の添付文書や使用条件で決まり、海外と同じとは限らない。

今できる選択肢

円形脱毛症が疑われる場合の受診先は皮膚科である。AGAクリニックは主にAGAの治療を扱っており、円形脱毛症の診断や治療の相談先とは役割が異なる。違いは皮膚科とAGAクリニックの違いにまとめている。

国内ではすでに、重症で難治の円形脱毛症に使えるJAK阻害薬がある。どの治療が合うかは脱毛の範囲や経過、持病によって変わり、効果や副作用には個人差がある。まずは皮膚科医に相談してほしい。

相談先の選び方は薄毛の相談先の選び分け、原因や一般的な治療は円形脱毛症の原因と治療、日常の注意は円形脱毛症のセルフケアが参考になる。

よくある質問

ウパダシチニブは日本で円形脱毛症に使える?

2026年10月3日時点で、国内の円形脱毛症への適応追加は審査中で、承認の発表は確認できなかった。アッヴィ合同会社は2025年12月15日に申請したと発表している。

AGA(男性型脱毛症)にも効く薬なの?

対象は自己免疫性の重症円形脱毛症で、AGAは承認・申請の対象に含まれていない。AGAとは原因が異なるため、AGAの治療薬として使う根拠は示されていない。

どのくらいの人に効果があったの?

UP-AA試験の24週時点で、頭部の脱毛面積が20%以下になった割合は15mgで45.2%と44.6%、30mgで55.0%と54.3%だった。プラセボは1.5%と3.4%だった。

副作用で気をつけることは?

JAK阻害薬には重篤な感染症などのリスクがあるとPMDAの審査報告書に記載されている。欧州承認の発表では、帯状疱疹のリスクは日本人患者で高いとみられると書かれている。使用の可否は医師が判断する。

まとめ

ウパダシチニブは、重症円形脱毛症の成人と12歳以上を対象に2026年7月に欧州で承認された。日本と米国では審査中で、国内承認は確認できていない。

AGAとは別の病気が対象で、使用の可否は医師が判断する。気になる症状がある場合は、承認状況を待つ前に皮膚科で現在の選択肢を相談しよう。

出典

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